真面目で優しいシステムエンジニアは損をする⑩~共有~
どうも!ヒグッティ(ヒグッティ@システムエンジニア)です!
私の実体験を元に真面目で優しいシステムエンジニアが損をすることについて書いていこうと思います。 これはフィクションです。とあるシステムエンジニア、ヒグッティの物語です。
前回は仕様書とソースの不整合の話について書きました。
今回は分析機能の要件を固めるまでの話となります。ではお楽しみください。
共有って大事
要件定義リストから何をしてよいかわからない改修要件を発見。要件をはっきりさせるため、現状の仕様書やソースを調査するが、仕様書とソースに不整合が発生していることに気づきました。ソースからあるべき姿の仕様書を作成、エンドユーザへの資料も完成しました。いざ、エンドユーザと要件を詰めるところまできました。これからエンドユーザとの会議です。エンドユーザを高田さんとします。高田純次に似てるから。
高田∶今日は分析機能の要件についてのお話ということですね?
PM∶はい。要件定義リストのこの行について具体的に何をするかを詰めていきたいと思います。まずはこちらで用意した資料をご覧ください。分析機能で現在、利用している項目と新しく追加となる新規項目をまとめた資料です。
高田∶あれっ…ちょっと待って下さい…我々が要件定義の時に渡した資料はどこにあります?
PM∶資料ですか?
高田∶はい。分析機能で使いたい項目をまとめたExcelがあると思うんですけど?
PM∶えーっと何でしたっけ(笑)?
高田∶たしかにこのサーバのこのディレクトリに資料を入れたんですけど…あっ!ありました!この資料です!ほらここに新規項目とか色分けしてるでしょ?この通りに作ってほしいんですよ!
PM∶あっ…なるほど。この件は了解しました…(汗)。新規項目の追加ですが、今は既存項目を利用している処理やWebで出力する帳票はこの一覧にまとめてあります。この一覧のどこに新規項目を追加すれば良いか教えてくれませんか?
高田∶いやいや!要件定義の時も仲間さんとお話しましたけど、帳票とか処理は関係無いんですよ。新規項目を使えるように枠だけ用意してもらえればいいんですよ!ほらこのWeb画面でこの項目をドラッグしてここに持ってくると帳票に項目を追加できるでしょ?この項目を増やすだけでいいんですよ!
PM∶り、了解です…
高田∶大丈夫ですか?ちゃんと共有してます?仲間さんとも話してくださいね!
PM∶わかりました。
ヒグ∶(マジか…またややこしいことになってきた…)
この会議は15分くらいで終了。多分一番早く終了した会議でした。この後、仲間さんとも会議の内容を共有しました。
PM∶と言う訳で、要件定義のときに高田さん達が出したっていう資料が出てきて…仲間さん、これ知ってます?
仲間∶あー、これは見たような気がするねー。でも実際にやることは変わらないよ。うちは新規項目を用意するだけでいーんだよ!
PM∶えー、早く言ってくださいよ!帳票とかをイジるのかと思ってましたよ!ヒグさんもこんな資料見たことないでしょ?
ヒグ∶はい。初めて見ました。
仲間∶そっかー。たしかにヒグさんのところに見積もりの作成依頼出した時、この資料はなかったね。でも、見積もり依頼の資料にこれを参照って書いてあるよ!これを質問してくれれば、高田さんの言った資料がでてきたのに。
PM∶ホントだ!これは優男さん、ヒグさん側での確認不足ってことでもありますね。
ヒグ∶確かに書いてありますね…(見積もりしたの俺じゃないんだけど!)
仲間∶あとは高田さんも私もこの分析機能についてはあまり詳しくないのよー。だから要件定義で話してても何か噛み合ってない気がしたんだよねー。でもやる事はわかってきたしヒグさんならここから設計とかできそうでしょ?
ヒグ∶とりあえず高田さんからの資料を見てからですね。(いやいや、詳しくない人同士で話してたら要件定義の意味ないじゃん、、本当は要件定義でやるべきことを今やっている気がする、、)
PM∶ヒグさん、じゃあさっきの資料も見て、また資料作りをお願いしますね。
ヒグ∶はい。わかりました。(マジか…やっぱりこうなるか…)
PM∶お願いね!
ヒグ∶あと、この分析機能の設計ですがもう2週間も遅れています。しかもまだ設計が着手できる見込みもありません。他の作業も詰まってますし少し作業を巻き取ってもらえませんか?
PM∶いやいや、これは設計作業だし、ここをしっかり詰めないとあとあとまずいよ。しかも要件定義リストをよく見ずに確認もしなかったことも原因なんだしねー。ヒグさんの言いたいこともわかるけど無理かなー。
ヒグ∶そうですか…
PM∶それにこの機能は最悪8月まで完成すればいいから!
ヒグ∶しかし、4月以降もやることが詰まってます。このまま行くと…
PM∶その時はヒグさんの会社の人とかにも相談して会社として対応してくださいよー(笑)こっちは必要な情報とかだして、見積もりもらってるんだから。その範囲内でできないなら会社としてやるのが当然でしょ?
ヒグ∶まぁそうですけど…(そうなのか?まぁできなくはないけど…4月以降もバッファもない厳しいスケジュールになるな…)
PM∶ということで資料よろしく!
ヒグ∶わかりました…
この時、既に1月も終わろうとしている時期、本来ならば分析機能の設計は終わり、開発に着手しているところ。マジでやばいな…スケジュール立てた意味ないじゃん…
こうして私は高田さんの資料も見ながら資料を作ることになりました。Web画面で使える項目をExcelに書き出して、その項目がどのグループに分類されるか書き出しました。このグループが入れ子になっていてまた面倒くさい…三段階くらいに入れ子になっていました。これをExcelにまとめていきます。色々平行して作業していたため、資料の完成に1週間かかってしまい、もう2月になっていました。
資料の作成が終わり高田さんと会議。この項目はこのグループにしてくれとか、新規項目は新しいグループを作ってまとめてくれとか色々と内容を詰めていきました。その間もシステムテストと並行して資料を修正していきます。
高田さんと合意を得る頃には3月上旬になっていました。これでやっと設計に着手できるようになりました。
PM∶これで内容はまとまりましたね。
ヒグ∶はい。設計書におとせるレベルまで要件が固まってきたと思います。
PM∶よかった。いつまでに設計書書けます?
ヒグ∶2週間くらいはかかると思います。PMさんのレビューも含めると3月中に設計が終わればいいかなと思います。
PM∶了解です。いやー今回の内容を詰めるのは大変でしたね!設計に必要な作業なので仕方ないけど!これからの設計からテスト完了までのスケジュールも作っておいてくださいね!
ヒグ∶了解です。(本当は3月いっぱいで内部結合テストまで終わる予定だったのに…)スケジュール的には8月までにはシステムテスト、性能テストが完了すると思います。スケジュールはあとで作成しますね。
PM∶あと、ヒグさん!例の新計算機能の件、どうですか?スケジュールできました?
ヒグ∶あっ…あれも一緒にスケジュール作りますね!(ヤベー!忘れてた!新計算機能のスケジュール考えないと…)
PM∶お願いしますね!4月以降のスケジュールがけっこう変わっているので、タスクの整理とスケジュールを見える化してください!私もあまり把握できていないんてすよー(笑)スケジュール作ったら会議しましょう!
ヒグ∶そうですね!最優先でスケジュール作ります!
分析機能の要件が固まり、設計に着手していこうかと思っていましたが…新計算機能の存在を忘れていました…新計算機能は要件定義リストにも載っていなかった案件です。11月にパーマさんからこの計算機能も新しい追加サービスの影響を受けるから改修したほうが良いと言われていました。PMさんと相談したところ、4月以降はタスクが空くから4月あたりから着手しましょうと話していましたが、私はすっかり忘れていました。パーマさんもいなくなっちゃったし…
とりあえず分析機能も何とか形になりそうだし良しとするか(笑)少し作業の目処が立ち安心感と達成感を感じていました。同時に次への課題に対する不安もあり、素直に喜べない微妙な感情になっていました。
スケジュール作ろ!
今日も遅くまで作業をし帰宅。最近、お昼は先輩と外食するんだよなー。先輩が奢ってくれるから(笑)なので妻の作ったお弁当は夜食べます。しかも夜飯も妻が用意しているので、夜は弁当と妻の用意した夜飯と2食分食べてます!そろそろ太るかな?東海オンエアの動画見ながら妻のご飯を食べるのが最近の楽しみです!絶対太る(笑)
まとめ
- 要件定義でフワフワした要件が発生しがち。
- よくわからない機能をよくわからない人達で話を進めがち。
- 「会社として対応してください。」という魔法の言葉がある。
- タスクを平行してこなすのはやめたほうがいい。効率悪い。
- タスクを後回しにすると忘れがち。