真面目で優しいシステムエンジニアは損をする20~ラストスパート~

どうも!ヒグッティ(ヒグッティ@システムエンジニア)です!
私の実体験を元に真面目で優しいシステムエンジニアが損をすることについて書いていこうと思います。いよいよ、リリースの回までやってきました!!まさかブログで20話近く自分の経験を書くとは思わなかったです。最後までしっかり書いていきます!! これはフィクションです。とあるシステムエンジニア、ヒグッティの物語です。
前回は比較テストについての話について書きました。

真面目で優しいシステムエンジニアは損をする19~比較テスト再び~

今回はプロジェクトのリリース直前までの話です。では、お楽しみください!

今回の記事で言いたいこと

  • お客さんが不安に思っているという理由で、リリース直前に急遽テストがぶっこまれる。
  • システムの開発メンバが保守として継続していることは稀。大体、他のプロジェクトに行くか、やめていく。
  • 仕事を断れない人は仕事ができない

ラストスパート

7月の下旬頃、現行システムとの比較テストや移行模擬テストで終電帰りが続いていました。そんな時、突然、PMさんから会議に呼ばれました。その会議ではあるテストを実施してほしいという内容でした。会議のメンバは親会社の人(以降、親会社さんとします)、PMさん、私でした。

PM:突然すみませんね。ちょっとヒグさんに確認してもらいたいことがあってこの会議に呼びました。
ヒグ:大丈夫です。何がありましたか?
PM:実は、やってほしいテストがあるんですよ、、
ヒグ:どんなテストですか?
PM:それは、お金に関する処理についてのテストなんですよ。
ヒグ:それは今テストしているところだと思うのですが、、
PM:実はそれ以外にもお金に関する処理があるのよ、、具体的に説明すると、今、ヒグさんたちにテストしてもらっているのは月末の処理なんですよ。今回テストしてほしいのは、日次で計算している請求処理なんですよ。
ヒグ:確かにその処理もありますね。うち内部で毎日、お金の計算をして他システムにファイルを連携していましたね。
PM:その処理です。実は今、親会社さんと話してて、その処理のテストもしないといけないなぁって話になったのよ。
親会社:そうですね。今回、ソースに手を入れているとお聞きしましたので、他システムでも作成したファイルを処理できるかテストしないと不安なんですよ。この処理の先には、他の会社への請求など大事な処理に使われるので、、何とかテストをお願いします。
PM:了解しました!
ヒグ:えっ、、そのテスト受けちゃうの?、、)
PM:で、ヒグさん、このテストいつできる?あといつまでに終わらせられる?
ヒグ:あー、、ちょっと、今の作業があるのでちょっと時間もらえませんか?(つーかこの状況じゃ拒否権がないじゃん!!)
PM:わかりました。今日中に返事もらえますか?私も他システムとの調整があるので早めに返事が欲しいです。
ヒグ:わかりました、、
親会社:お願いしますね。

またしても、テストが追加となってしまいました、、結果としては今やっている比較テストの後にやるってことになりました。幸いにもPMさんが他システムとの調整をしてくれたので、こっちではデータの準備とテストの実施のみで済みました。これも他の作業の片手間でやっていましたが、、テスト期間は1週間ほどだったので何とか乗り越えたかに見えたのですが、、

8月の中旬、さらに問題が発生しました。この時、リリースまで2週間を切っていました。その問題とはWeb画面の認証についてです。このWeb画面の認証については以下に書いてあるのでよかったら見てください。最後のほうに書いてあります。

真面目で優しいシステムエンジニアは損をする18~リカバリ~

この認証周りは年末年始あたりから、私がPMさんに相談していることでした。私は「利用するには申請が必要なので早く確認した方がよいのでは?」とPMさんに毎週確認していましたが、結局、リリース後に対応となったため油断していました。以下はこの問題についての会議の会話となります。

親会社:すみません。お忙しいところ集まっていただいて。
PM:いえいえ。
ヒグ:大丈夫です。
親会社:では、早速、本題に入りたいと思います。今、Web画面の認証ですが、本来の認証ではなく裏のログインページから画面にログインしますよね?
PM:そうですね。申請の関係で認証周りはリリース後に対応しようと考えています。
親会社:そうですか。この裏のログインページなんですがね、、問題あるんですよ。ユーザIDとパスワードをするとログインできるんですけど、パスワードが何を入力してもログインできちゃうんですよ。正直これはセキュリティ的に許されないですよ。何とかなりませんか?
PM:そうですか、、、パスワードが何でも通るのは私も今初めて知りました。ヒグさんは知ってました?
ヒグ:いえ、私も初めて知りました。申し訳ありません。
親会社:最初はリリース後に、この認証周りを調整することにしていましたが、これはまずいですよ、、リリースまでに何とか本来のログイン方法でリリースしてください。
PM:わかりました。
ヒグ:承知しました。

こんな感じで急遽、認証周りの申請をしなければならないことに、、この件についてさらに会議をしました。会議のメンバはPMさん、ジャムおじさん、私です。ジャムおじさんは現行システムの保守をしているお客さんです。

PM:というわけで残り2週間で認証周りの申請をしなきゃいけなくなりました、、本来だったらリリース後の作業でよかったのに、、で、この会議では認証周りの機能を実現させるため何をしたらよいかを話し合いたいと思います。
ヒグ:了解です。
ジャムおじ:ちょっといい?認証を実現させるため、何をすればよいかはどのくらいわかっているの?
PM:何もわかりません!!認証を使えるようにどこかに何かを申請するらしいんだけ何もわかりません(笑)
ジャムおじ:そっか(笑)私もそこらへんはわからないなぁ。現行システムも途中で引き継いだからそこら辺の資料とかは残っているかなぁ。一応、保守の人に聞いてみますね。
ヒグ:(お客さんの社内のことなのに誰も知らないのか、、、)
ジャムおじ:保守に確認したけど、今のメンバはみんな途中で引き継いだ人達だから、そこら辺の申請はわからないって。
PM:そうですか、、私もリリースに向けて色々資料を準備しなきゃいけないんですよ、、リリース承認依頼書とかリリース判定結果報告書とか、、
ヒグ:(何個、資料作らないといけないんだ、、大変だな、、)
PM:ヒグさん、この認証周りお願いできない?ヒグさんの先輩とか詳しい人いるでしょ?
ヒグ:えー!!聞いては見ますが、PMさんの社内のことですよね?誰か知ってそうな人いないんですか?
PM:知ってそうな人いないんだよね、、お願い!これをクリアしないとリリースできないからさー!!
ヒグ:わかりました、、幸い、データ移行模擬テストも終わりましたし、やります、、
PM:ありがと!!で、いつまでにできそう?
ヒグ:とりあえず、今日これから調べたりするので、定時くらいに報告します。(お客さんも知らないことを俺がしるかー!!)
PM:お願いしますねー
ジャムおじ:ヒグさん!あと、現行システムの保守作業の引継ぎの調子はどう?
ヒグ:何とか引継ぎしてます。他のメンバに一旦、引継ぎしてもらっています。私も引継ぎの会議に出れるときは出ています。
ジャムおじ:頼みますよ。私は実際の作業はよくわからないから。ここで引き継がないと漏れちゃうからね。
ヒグ:わかりました、、、

こんな感じで私はまたしても仕事を増やしてしまいました、、私は本当に断れない性格です、、しかもリリース2週間前ともなると作業を断ることができなくなっていました。これをしないとリリースできないっと言われてしまうのです。リリースを延期するのはどうですか?って聞いたことがありますが、無理でした。「延期する理由や経緯を資料におこして、関係各所に説明できるなら延期できるかも」って言われました。仕事をコントロールできる能力の重要性を痛いほど感じました。

同時に、現行システムの引継ぎも発生していました。これは7月末から1日3時間程度、約3週間引継ぎをやりました。会議で引継ぎ作業の説明を受けたり、実際に作業をしたりしました。茶髪さんは9月末でいなくなることがわかっていたので引継ぎ先はおのずと私になりました。ちなみにこの引継ぎは工数に入っていません。上司に相談したところ、別チームから引継ぎ専用の要員として2人ほど借りることができました。しかし、この二人はプログラミングはおろかITの知識がほとんどない人たちでした。IT事務的な人です。その人たちに引継ぎを任せましたが、、、基本的に手順書にかいてあることをその通りにやるだけなのですが、新システムに変わるので、適宜、読み替えていかないといけない箇所が発生していました。もちろんそんなこともできるはずもなく、、、リリース後、大変な事態になることは目に見えていました、、

この時の私の1日のスケジュールはこんな感じでした。ほとんど打ち合わせです、、、

  • 9時~10時:メンバの作業、進捗の確認
  • 10時~12時:現行システムの引継ぎ
  • 12時~13時:昼食
  • 13時~14時:現行システムの引継ぎ
  • 14時~16時:リリースに向けた会議(残作業や課題の共有)
  • 16時~17時:メンバと作業の相談や問題の共有。時間があるときは自分の作業
  • 17時~19時:データ移行での各チームの問題、課題の共有
  • 19時~20時:PMさんから相談を受ける
  • 20時~21時:メンバから個別に相談を受ける
  • 21時~23時30分:自分の作業(翌日の資料作りなど)

この時の私は、もはや判断ができないほど、仕事に追われていました。リリースをする!ただこれだけを考えて行動していました。この時、他のメンバーはデータ移行模擬テストの結果をまとめていたり、テストで発生した課題の対応をしていたり、開発で作成したエビデンスをまとめて、ドキュメント整理したり、開発でのバグを修正したりと忙しくしていました。この認証の件もメンバと相談しましたが、全くわからないというのが結論、、結局、私が調べることになりました。よくある話ですが、社内のことなのに社員が何も知らないことはよくあります。システムなどは全部、下請け任せ。下請け会社の単価が高い場合、安い下請け会社に乗り換えてシステムの保守を引き継ぎさせたりしています。その際、引き継ぎ漏れが発生したり、そもそも引き継ぎがなかったり、資料が存在しなかったりとノウハウや技術が抜け落ちていきます。なので誰も知らないけど何となく動いているシステムが出来上がります。そしていざ作り変えよう!っとなったときには、既に炎上確定案件になっているのです。

リリースまで2週間前とは思えないほどの忙しさと作業量でした。認証機能を利用するため、どの部署(お客さんの会社の部署)に連絡すればよいか調べ、それっぽい部署にメールを送りました。そうすると2回目にメールした部署が見事、お目当ての部署でした。すぐさま事情を説明して、認証機能を利用できるようにしてもらいました。途中で色々問題はありました。特定のポートが通信できないとか、IPアドレスを制限しているとか、、そんなこんなで問題をすべてクリアしたのはリリースの2時間前でした、、、普通に考えて頭おかしいよね(笑)。認証機能を本番サーバに適用するためには、リリースの3時間前に特定のポートを開放し、そこから疎通テストをしないといけませんでした。なので2時間前にやっとリリースOKの判定が出ました、、正直、リリースの準備はほとんどできていませんでした。リリース2時間前まで作業やっているんだから、、ほとんどぶつけ本番のようなものでした、、でもようやくリリースまでこぎつけました、、
この時、私は心も体もボロボロでした、、連日の作業で帰るのは終電。思うように作業が終わらず、リリースモジュールの最終確認すら時間もなく、、でも、やっと解放される、、そんな一筋の淡い期待を胸にリリース作業を開始するのでした。

リリースやリリース後の話は次回かきます。

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